初めて自由になる
私は、生まれてからずっと両親や姉に支配されて生きてきました。
そして結婚してからは、夫に支配されて生きてきました。
そんな私が、離婚提出後、初めて「自分と子供」の為だけに生きられる日がやってきました。
でも、初めて自由になった私、どうしていいのか分からないんです。今までずっと誰かに支配されて命令されてコントロールされて生きてきた私ですから、(生まれてからずっと)、突然自由になったら、何をどうしていいのかサッパリわからないんです。
だって、自分がないんですから。いきなり自分になれと言われてもそうそうなれるものじゃないんです。
安いゲストハウスに宿泊していた時、ある人と知り合いになりました。
よくこんな所に女性が赤ちゃんと一緒に滞在できるね、とビックリされたのが最初のきっかけです。
その人は、シドニーのあるニューサウスウェールズ州のド田舎出身の人で、その人も離婚して、奥さんが引き取った息子に会いにたまたま来ていてその間、そのゲストハウスに宿泊していました。
その時に知り合いました。
あまり英語がわからない私ですが、ゆっくり喋ってもらったり、辞書を引いたり、私も和英辞典で引いた英語を見せたりのたどたどしい時間のかかる会話でしたが、何とか意思の疎通がはかれ、仲良くなっていきました。和英、英和辞書が大活躍。
その人が自分の家に帰るときに、折角オーストラリアに来たのだから、遊びにおいでと誘ってくれました。
自由になった私は、一も二もなく有難うとご厚意を受けることにしました。普通なら、そんな知らない人のご厚意をあまり受けないとは思うのですが、突然自由になった私はもう訳が分からなく麻痺していました。
その人は一足先に帰るので、どういう風にそこまで行くのか合流の方法等を約束してサヨナラしました。
約束の日、空港までタクシーで向かい、グレニナスというド田舎町の空港まで、教えてもらった通りチケットを買いました。
ところが、メインの大きい空港でなく、そこからタクシーに乗って、シドニー空港の敷地内にはあるのですが、何だか小さなセスナが数機止まっている小さな発着場所みたいな所に行くように言われました。
全部で10人乗れるか乗れないかくらいのプロペラセスナでした。。。
てっきり飛行機なのかと思っていたら、、って飛行機は飛行機ですがまさかセスナ機とは思わず。。。
グレニナスに行くのか聞いてみたら、行くと言われたので間違ってはいなさそう。。。
1時間くらい待つとやっと出発時間。数段の階段を上ってセスナに乗り込むと、数人しか乗っておらず、操縦席は丸見え。フライトアテンダントなんていない、操縦士と副操縦士だけ。ほんっとにセスナ。。。
飛び立つ時、ものすごい振動が体に伝わってきて、飛んだ瞬間、内臓が口から飛び出るかと思うくらい、セスナに乗っているというよりか、自分で勝手に空を飛んでしまっている感覚でした。
セスナって、、、遊園地のジェットコースターに乗るより怖いわ。。。と思いました。
常に下の大地が見えるくらいの低空飛行でした。
1時間くらいしたら、忘れましたがある飛行場につきました。セスナ一機が下りられるだけで、ちっちゃな小屋があるだけのちっちゃな空港。。。というより、バスの停留所みたいな。。。見渡す限り何もない、大自然の中にポツンとある停留所。それもよく操縦士は見つけられるな、と思うくらい大自然の中では小石よりも小さい場所。。。
なんだこれは、、、飛行場とは言えないぞ、、というくらいの小さな停留所です。。。
操縦士が、どこそこ~!と空港名を告げると、一人降りていきました。そして新しい人が一人乗ってきました。
また飛び立ち、1時間くらいすると、また同じようなバス停のような空港にセスナが下りて、「どこそこ~」と地名を告げると一人おりていきました。
グレニナスは?って聞いてみたら次だよ、と教えてもらいました。
このセスナは、バスのような感覚でド田舎の人に使われているんだ、、(ド田舎って失礼な表現方法ですが。。。^^;)ド田舎の人の交通手段なんだ、、、と、その時気づきました。流石だだっぴろい国、セスナがバス替わり、移動手段なんですね。。。
そしてグレニナスに到着、降りて小屋の方に向かうと、別に空港の職員がいるわけでもなく、小屋に出口入り口らしきものが付いているだけで、ただの無人駅なのです。。。
そこに例のお友達になった人が迎えにきてくれていました。よかった!もし迎えに来てくれていなかったら、こんな人もいない誰もいない大自然だけの場所で死ぬな。。。と思いました。
ほんとよく、遊びにおいでと言われて一も二もなくOKの返事するなとビックリするくらい馬鹿な私でした。
周囲には本当に何もない牧草地帯がただただ広がっているだけ。マジで死にますよ。。。
その人がいい加減な人でなくて幸いでした。。。今考えたらぞっとします。普通はこんな冒険しません。本当に悪い人でなくてよかったです。
そこからその人の車でなんと4時間もかかって、その人の家まで連れて行ってもらいました。
4時間の間、一度も民家も見なければ、人なんていない、ただの広大な大自然の土地を、同じ牧草地の景色をずっと見ながらの移動でした。
その人の家は、人に会うためには、一番近くの小さな町まで車で2時間くらい走らないと人と会えないくらいの何もない広大な土地の中にポツンとありました。
小さな家ですが、自分で建てたのだという事でした。
電気もガスも何も通っていないので、自家発電で電気を起こしていました。シャワーやお湯は薪ストーブで沸かすようになっていました。
洗濯は、週に一回、2時間かけて一番近い小さな町まで買い物がてらコインランドリーで洗濯をするのだという事でした。
数日泊っていくようにお誘いいただいていたのは、日帰りなんてこれは絶対に無理な場所だわ、、、だからだわ、、、とそこに行って初めて気づきました。
秘境です。。。
水も持たず、お金だけ持っていれば何とかなるだろうくらいのバカで浅はかな考えで、、、お金なんて持ってても何の役にも立ちません。そこではお金はただの紙切れにしかなりません。。。
本当にその人がいい加減な人だったら、私、息子を道連れに死んでます。。。日本でも都会育ちの私ですから、秘境がどんなに危険なところかとか想像もつきませんでしたし頭の中にこれっぽっちもありませんでしたし、、なんて危険な事を簡単に決めてたんだろうって思いました。
ニュースになるような事にならなくてよかったです。。。
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